ほぼ隔週刊詩

隔週のほぼ水曜日にお届け/作品集からご紹介しています(一部 書き下ろし)

(#91/1201)  

 

「みずからのうた」

 

今日を嘆くことなかれ

明日に怯えることなかれ

 

生まれる前も 確かに在った

無色無名で漂いながら

ただ宿命を果たすため

この世に生まれ落ちたのだ

するするららん するららん

あるなるららん あるならん

 

顔や貌を変えながら

記憶という名の夢を見て

この世を旅したまでのこと

するするららん するららん

あるなるららん あるならん

 

別れを信じることなかれ

出逢いを疑うことなかれ

 

目に見えずとも 不思議は残る

気配となって見守るように

器を離れて天へと昇り

この世で生まれ変わるのだ

するするららん するららん

あるなるららん あるならん

 

次元を自在に超えながら

億千万の夢を食み

どの世を旅していくのやら

するするららん するららん

あるなるららん あるならん

 

ああ 醒めぬ眠りと恐れたものは

ああ 光の波への目覚めであった

するするららん するららん

あるなるららん あるならん

 

(『2021新作集』より)

(#90/1104)  

 

「抱きしめて」

 

比べたくないはずなのに

比べてばかりで泣かせてしまう

比べられては責められた

あの日の私が呼びかける

抱きしめて ただ 抱きしめて

待っているのは それだけだから

 

あの日の私が呼びかける

ほほえんで ただ ほほえんで

望んでいるのは それだけだから

 

(『ワクチンポエム』より)

(#89/1020)  

 

あなたのうそを知っている。

あなたの不義理も知っている。

それでも私は構わない。

恋の記憶は消えぬから。

 

(『サクラごはん』より)

(#88/1006)  

 

あんな親になるもんか。

あんな家にするもんか。

そんな親にいつか似て。

そんな家に住んでいる。

 

(『サクラごはん』より)

(#87/0922)

 

奇跡を待つ身に 声 降り注ぐ

 

薄絹の先でちらつく灰色は 覚悟を試す鏡なり

行く手にそびえる岩肌の 向こうの景色に影は無し

ただ目の前の細道を 見つめて進むばかりなり

遠回りにも花は咲き いつの間にやら峠越え

 

天には仰ぐ空あれば 地には還る土があり

色なき風に色を見て 流れる雲に無常を知る

ただ目の前の細道に 命の行方を確かめる

 

薄絹の 先でちらつく灰色は 覚悟を試す鏡なり 

先に待つ色染めるのは 歩くわが身の祈りのみ

 

奇跡を待つ身に 声 降り注ぐ 

 

 (『宇宙詩』より)

(#86/0908)

 

ある時 私は水を生きていた

いのちを育み 大地を潤し

姿を変えながら 天地を往来し

時には 荒れ狂った

怒りのためではなく 

いたずらな気晴らしではなく 

ただ変化のために 

留まることのない エネルギーの軌跡として 

罪や罰ではなく 

轍を残す そのために

  

多くのいのちを奪い 

それらが生きる世界を乱し  

やがて私は鎮まった  

 

そのようにして私は 

熱となり 有機物となり 

あらゆるものに宿った   

 

私はすべてであり 

すべてが私だった 

 

(『宇宙詩』より)

(#85/0826)

 

ある時 私は光を生きていた

私は暗闇のなかで生まれ

時空を超え 走り続けた  

闇を照らし 目覚めを呼び

その軌道は 創造の旅となり 

いくつもの奇跡を起こし  

新たな光たちを生み 

唯一無二の いのちとなった 

光の記憶を宿した 

完全なるいのち  

自ら輝き すべてを照らす  

唯一無二の 光の源